簡単にできて凄いトランプマジックをお探しですか?
今回は『エレベーターカード(Elevator Card)』というトランプマジックを紹介します。
3枚のトランプが、トランプの山の中を、上下に行き来するマジックです。
難しいテクニックを余り使わず、簡単にできるバージョンです。
やり方の解説(種明かし)もあるので、ぜひやってみましょう。
【現象】簡単トランプマジック『エレベーターカード』とは
まず、簡単トランプマジック『エレベーターカード』の現象を、動画と文章で見ていきます。
演技動画
以下が簡単トランプマジック『エレベーターカード』の演技動画になります。
現象の流れ
では文章で、簡単トランプマジック『エレベーターカード』の流れをおさらいします。
手順1:3枚のカードを示す
マジシャンは、トランプを広げ、スペードのA、スペードの2、スペードの3の3枚のカードを抜き出します。
そして、それらを広げてお客さんに示します。
手順2:3枚のカードをテーブルに配る
マジシャンは3枚のカードを裏向きにします。
そして、テーブルの左からスペードのA、スペードの2、スペードの3の順に配ります。
手順3:スペードの3を山の一番下に入れる
まずマジシャンは、スペードの3を山の一番下に入れます。
手順4:山の上で指を鳴らす
そして、スペードの3が一番下にある山の上で、指を鳴らします。
手順5:スペードの3が山の一番上に現れる
すると、山の一番下に入れたはずのスペードの3が、山の一番上まで上がってきます。
手順6:スペードの2を山の一番上に置く
続いて、山の一番上にスペードの2のカードを置きます。
手順7:山の上で指を鳴らす
そして、マジシャンは山の一番上で指を鳴らします。
手順8:スペードの2が山の一番下まで移動する
すると、今度はスペードの2が山の一番下まで降りてきました。
手順9:スペードのAを山の中央に差し込む
マジシャンは最後に、スペードのAのカードを、トランプの山の中程に差し込みます。
手順10:山の上で指を鳴らす
そして、マジシャンは山の上で指を鳴らします。
手順11:スペードのAが山の一番上に上がってくる
すると、最後のスペードのAも、山の一番上に上がって来ます。
まるでエレベーターのように、3枚のカードがトランプの山の上と下を行き来するのです。
【解説】簡単トランプマジック『エレベーターカード』のやり方(種明かし)
では、簡単トランプマジック「エレベーターカード(Easy)」の解説(種明かし)です。
最初に解説動画をご覧いただき、その後、補足説明をお読みいただければと思います。
動画による解説
以下が簡単トランプマジック「エレベーターカード(Easy)」の解説動画です。
文章による解説
それでは文章で、簡単トランプマジック『エレベーターカード(Easy)』の説明をします。
手順1:3枚のカードを手に取る
右手に、奥からスペードのA、スペードの2、スペードの3となるよう、3枚のカードを手に取ります。
手順2:トップカードの下にブレイクをとる
ここで、左手に持っている山の一番上( トップ という。ここではハートの8)のカードの下に、 ブレイク (隙間)を作り、小指で保持する動作を行います。
まず、トップカードのハートの8を、親指で右側に少し押し出します。
そして、トップカードを薬指で持ち上げます。
すると、トップカードの下に隙間ができます。
この隙間に小指の先端の肉を噛ませることで、空間を保持します。
ブレイクを取ると、上の図のような感じになります。
小指は差し込むのではなく、肉だけがカードとカードの間に挟まっている状態にします。
なお、このように、カードとカードの間に割れ目(break)を作るテクニックをブレイクといいます。
ブレイクの作り方は色々ありますが、ここでは割愛します。
手順3:右手の3枚のカードを重ねる
ブレイクを取ったら、その上に、右手の3枚のカードを重ねます。
この段階では、まだブレイクは保持しておきます。
手順4:ブレイクから上のカードを右手に取る
3枚のカードを重ねたら、カードを揃えます。
そして、トップカード(ハートの8)を付け足した、ブレイクから上の4枚をまとめて右手に取ってしまいます。
なお、このように密かにカードを付け加える動作を シークレット・アディション といいます。
手順5:デックをテーブルに置く
そして、右手のカードを取ると同時に、左手のトランプの山( デック :Deck)をテーブルの上に置きます。
このとき、底( ボトム :Bottom)にあるカードは、先程ハートの8を右手に取ってしまったため、ハートの8の1枚上にあったカードとなっています。
ですので、底がお客さんに見えないようにしつつ、テーブルに置きましょう。
手順6:3枚のカードを広げる
デックをテーブルに置いたら、右手のカードを広げて3枚のカードを示します。
ただし、スペードのAの後ろには、密かに付け加えたカード(ハートの8)があるので、実際は4枚を持っていることになります。
左手親指で1枚ずつ押し出すように広げていき、スペードのAが見えたところで止めるようにすると、上手く広げることができます。
手順7:3枚のカードを裏返す
デックの上で、3枚のカードをまとめて裏返します。
手順8:デックの上から3枚カードを配る
そして、1、2、3、と数えながら、マジシャンから見て右側から、デックの上3枚のカードを裏向きで配っていきます。
実際は、配った順に、ハートの8、スペードのA、スペードの2となっています。
そして、山の一番上(トップ)がスペードの3です。
手順9:左端のカードの上に山を置く
カードを配ったら、最初にマジシャンから見て左端のカードの上に山を置きます。
お客さんはこのカードをスペードの3だと思っていますが、実際はスペードの2です。
手順10:スペードの3が上がってきたことを示す
山を置いたら、指を鳴らし、一番上のスペードの3をめくって示します。
これで、スペードの3が一番上に上がってきたように見えます。
同時に、左端にあったスペードの2は、山と一緒に持ち上げて回収します。
手順11:真ん中のカードをデックの一番上に置く
続いて、真ん中のカードを、山の一番上に置きます。
お客さんは、このカードをスペードの2だと思っていますが、実際はスペードのAです。
お客さんには見えないよう、裏向きのまま、山(デック)の一番上に置きます。
手順12:スペードの2が一番下に降りてきたことを示す
カードを一番上に置いたら、指を鳴らします。
そして、一番下にあるスペードの2を見せ、スペードの2が山の一番上から一番下まで降りてきたことをお客さんに示します。
見せたスペードの2は、底から抜き出して、テーブルに置いておきましょう。
(演技動画ではボトムカードが見えていますが、ここでスペードの2を抜き出すときも、ボトムカードが見えないようにした方が良いですね。よく見ているお客さんの場合、底のカードが変わったことに気が付かれます。)
そして、現在の状態で、スペードのAが一番上にあります。
手順13:右端のカードをデックの中に入れる
最後に、右端のカードをデック(山)の中に入れます。
このカードをお客さんはスペードのAだと思っていますが、実際は、密かに付け加えた関係のないカード(ハートの8)となっています。
手順14:スペードのAが一番上に上がってきたことを示す
カードを中に入れたら指を鳴らします。
そして、一番上にあるスペードのAをめくります。
これで、スペードのAが一番上に上がってきたように見えます。
【実演】簡単トランプマジック『エレベーターカード』のコツ
では、簡単トランプマジック『エレベーターカード(Easy)』を実演する上でのコツを、テクニックの面で3つ、演じ方の面で1つ、計4つのポイントに分けて解説します。
ポイント1:ブレイク
初心者の方が演じる場合、ブレイクを取る手順が難しいポイントになるかなと思います。
慣れないうちは、小指でカード下の空間を保つのが安定しません。
ブレイクはカードマジックをする上で、覚えておきたいテクニックではありますが、やらずに済ます方法もあります。
その方法の1つとして、最初から余分なカード1枚を、3枚のカードの上に重ねた状態から始めるというものがあります。
こうすれば、ブレイクを取る必要がなくなりますね。
ブレイクが安定しないうちは、このように手順を少し変えるとやりやすいと思います。
ポイント2:シークレット・アディション
解説の手順の中でも触れましたが、お客さんに気付かれないように、別のカードを手元のカードに付け加えることを、シークレット・アディション(Secret Addition:密かに付け加えること)と言います。
このテクニックも、初心者の方だと、少々難しいと感じるのではないでしょうか。
演技例では、お客さんにカードを混ぜてもらった後でも演技できるように、カードを抜き出すところから始めています。
そのため、このシークレット・アディションの動作が入っています。
ですが、ブレイクと同様、テクニックの難易度を下げたい場合は、カードを抜き出す手順は省略しても構いません。
3枚のカードの後ろに、余分なカードを1枚足した状態から始めれば、このシークレット・アディションも行わずに済みます。
シークレット・アディションも色々なやり方がありますので、また別の記事にて、改めて解説できればと思います。
ポイント3:パケットのスプレッド
右手で持った4枚の パケット を、3枚のように スプレッド するときも、注意が必要です。
一度に3枚とも広げようとすると、4枚目も広がって見えてしまいます。
ですので、上から1枚ずつ横にずらしていき、3枚目まで見せるような広げ方をしましょう。
ポイント4:カードの配置
エレベーターカード(easy)で、お客さんが表の数字(スペードのA, 2, 3)を確認できるのは、カードをテーブルに配る前が最後となります。
ですので、お客さんから見て、表が見えない状態でも、どの場所に何のカードがあるのかが分かるように、カードを配るようにしましょう。
そのためには、どこに何のカードが置いてあるかを直感的に把握できる配置(例:右から1、2、3、と配る)にしておくのがおすすめです。
伏せたままでも、お客さんは「その場所にカードがある」と思ってくれるでしょう。
終わりに
以上、簡単で凄いトランプマジック『エレベーターカード(Easy)』の現象とやり方(種明かし)を解説しました。
1枚のカードを上に付け足すだけ、という単純な仕組みですが、それによって、ある現象が起こったときには、次の現象の準備ができている状態になるのが面白いですね。
(これをワンアヘッドの原理(One Ahead:1つ先に)というそうです。)
カードマジックにおける基礎的なテクニックがいくつか使われているので、初心者の方が、カードの扱いに慣れるのにもうってつけのマジックだと思います。
ぜひチャレンジしてみてください。