簡単なのに凄いカードマジックをお探しでしょうか。
簡単なカードマジックの場合、現象もそれなりのものが多いですが、今回のカードマジックは一味違いますよ。
この記事では、テクニックの要らないセルフワーキングと呼ばれる種類のカードマジックの作品を紹介します。
トランプを時計の文字盤に見立てて行う予言のカードマジックです。
意表を突くクライマックスで、見る人をあっと驚かせてみせましょう。
【現象】簡単カードマジック|時計の文字盤の予言
まずは、あなたがお客さんになったつもりで、演技動画をご覧ください。
では、文章で、現象をおさらいしましょう。
時計の文字盤状にトランプを並べる
「今からこちらのトランプを使ったマジックをします。」
マジシャンは、上記の図のように、1から12までの数字のトランプを時計回りに並べて置いていきます。
カードケースに入った1枚のカードを渡す
「そして、このカードケースには1枚のカードが入っています。」
「こちらは後で使うので、しっかりと手に持っていてください。」
と言って、1枚のカードが入ったカードケースをお客さんに渡します。
好きな時刻を心に決めてもらう
「このトランプの配置に見覚えのある方も多いでしょう。」
「そうです。これは、時計の文字盤を表しています。」
「今から、口には出さず、1時から12時までの好きな時刻を心のなかに1つ決めてください。」
選んだ時刻に合わせて文字盤上を動いてもらう
「それでは、あなたが心に思い浮かべた時刻のカードに注目してください。」
「今から、私の言うように、文字盤上を動いてもらいます。」
「まず、今いる位置のカード数だけ、時計回りに進んでください。」
「進めましたか?」
「そうしたら、今止まった時刻のカードの数だけ、更に時計回りに文字盤上を進んでください。」
「出来ましたか?」
「それでは最後に、今止まっている時刻のカードの数だけ、反時計回りに進んでください。」
予言を示す
「さて、あなたは好きな時刻を心に決め、そして、そこから文字盤上をぐるぐると回ってもらったわけですが、今あなたがどこにいるかなど、私の知ったことではありません。」
「ですが、信じがたいことに、あなたがどこにいるのかを示す予言のカードが、最初に渡したカードケースの中に入っているのです。」
「それでは、どうぞご覧ください。」
予言を確認する
「どうでしょうか?」
「あなたが今まさにいる位置のカードが予言されていましたね。」
「…え、違いますか?」
文字盤上の赤いカードを裏返す
「あれ?どのカードのところにいますか?」
「12時…ハートのQのところにいるんですか。」
「それなら、ほら、赤いカードは1枚しかありません。」
「予言も赤いカードですから、当たっていると思いますが。」
マジシャンはハートのQ以外の文字盤上にある赤いカードを全て裏返していきます。
黒いカードも裏返す
「なんだか納得できないような顔をされているので、黒いカードも裏返しますか?」
「ほら、こうするとより分かりやすいですよね。」
「これなら、予言と同じ赤いカードは1枚だけですよ。」
今いる位置と予言のカードが一致
「分かりました。」
そう言って、最後のハートのQを裏返すと、予言したカードと同じく、裏模様が赤いカードがたった1枚だけあることが明らかになります。
「そうなんです。不思議なことに、選ばれたカードは、予言と同じ赤い裏模様のカードだったんです。」
【解説】簡単カードマジック|時計の文字盤の予言
では、解説(種明かし)に入っていきます。
以下の動画で解説を行っています。
結論から言えば、セルフワーキングなので、現象の部分で説明したのと全く同じ手順で行えば、どの時刻が選ばれたとしても、最終的に12時の位置にあるハートのQが選ばれます。
これは、そんなに難しい原理ではありません。
最後の1回で反時計回りに進んでいますが、時計の文字盤上のどの時刻にいたとしても、その時刻の数だけ反時計回りに回れば、以下のように必ず12時の位置になりますよね。
・1 - 1 = 0時(=12時)
・2 - 2 = 0時(=12時)
・3 - 3 = 0時(=12時)
・4 - 4 = 0時(=12時)
・5 - 5 = 0時(=12時)
・6 - 6 = 0時(=12時)
・7 - 7 = 0時(=12時)
・8 - 8 = 0時(=12時)
・9 - 9 = 0時(=12時)
・10 - 10 = 0時(=12時)
・11 - 11 = 0時(=12時)
・12 - 12 = 0時(=12時)
ただ、選んだ位置からいきなり反時計回りに回るのでは単純すぎるので、最初の2回は時計回りの操作を挟むことで、適度に複雑な印象を与えています。
【実演】簡単カードマジック|時計の文字盤の予言
では、実演におけるポイントについて解説していきます。
サッカートリックで驚きを増す
このマジックでは、サッカートリック風の演出にしています。
一度、予言が外れたとお客さんに思わせておいてから、よく見てみると、最初に思っていたのとは違う意味で予言が当たっていて、意外な結末が示される構成になっています。
この手の演出をする時には、あたかも本当に失敗したかのように、少々うろたえた様子を出すことが大事ですね。
苦し紛れに言い訳をするような感じで、カードを裏返していき、最後のカードを裏返すときに、ここ一番の注目をさせると良いでしょう。
計算っぽさを無くす
今回のマジックでは、数学的原理という程のものはありませんが、数理トリックを用いたマジックを行うときに気をつけることは、いかに計算っぽさをなくすかです。
四則演算や、意味もない数字を唐突に使うように指示すると、一気に計算している感じが出てしまいます。
ですので、こうした作業は、できる限り演技の手順から取り除くのが良いでしょう。
実際、時計の文字盤の上をまわるという操作を頭の中でやると分かりますが、数を数えながら目でぐるぐると文字盤上を動くだけなので、あまり計算しているという感覚にはなりません。
任意に選ばれた感じを出す
解説で述べたように、最後に止まった時刻の数だけ反時計回りに回れば、当然ながら12時の位置に止まります。
ですが、あえて他の時刻の予言(ダイヤの5)を見せることで、「違う時刻に止まる可能性もあったんだな。」と無意識的に思わます。
そして、今いる文字盤の位置が、あたかもランダムに選ばれたかのような印象を与えることを狙っています。
観客の数は1人だけにする
複数名の観客に対しては行わないことも大事ですね。
さすがに、3人、4人が違う時刻を選んだであろうはずなのに、みんな12時になると、「12時にしかならないのでは?」と勘ぐられます。
たまに「何時を選んだ?」と確かめる人もいますからね。
もっとも、セルフワーキングのメンタルマジックでは、その場の会場にいる全員が、偶然にも同じものを選ぶ、みたいなパターンも無いわけではないのですが、今回のカードマジックに関しては、やめておいた方が無難でしょう。
終わりに
以上、簡単なカードマジックとして、時計の文字盤に見立てたトランプによる予言のマジックをご紹介しました。
セルフワーキングなので、テクニック面での負担が小さく、余力を台詞や演出に使えるので、マジックを始めたばかりの初心者の方でも取り組みやすいと思います。
むしろ、演技力を鍛える練習になるかもしれませんね。
この予言のカードマジックは、ずいぶん昔に本かネットかで見て、そこで覚えたような気がします。
一体どこで覚えたのか、正確なことを記載しておきたかったんですけど、残念ながら探しても出てきませんでした…。
でも、見せ方が面白いなと思っていて、強く印象に残っているトリックの1つです。
数学が得意な人達に見せたこともありますが、数理トリックのことなど頭に浮かばなかったみたいで、最後のオチで「マジか」と普通に驚いてくれました。
ぜひ練習して、友達や知り合いの方を驚かせてみてくださいね。