マジックを始めたばかりの初心者だと、マジックの種類には何があるのか、どんなものがあるのか、今ひとつ全貌がつかめないことが多いと思います。

そこで今回は、どんな種類のマジックがあるのか分からない初心者の方に向けて、マジックの各分野の体系や分類方法を解説していきます。

これからマジックを学んでいく上で、どんなマジックの種類があるのか理解しておくのは大事ですので、ぜひ理解しておきましょう。

マジックの種類と5つの分類観点

一口にマジックの種類といっても、それこそ膨大な数があります。

そこで、マジックの種類を整理するために、まずは何に着目して分類するかを決めておくと分かりやすいです。

マジックの分類方法については三者三様ですが、Wikipedia等を参考に、当サイトでは次のような5つの分類観点を設けました。

「現象」/Occurrence

マジックで起こる現象に着目した分類方法です。

マジックの現象といっても山ほどありますが、共通した現象も多いです。

「道具」/Material

マジックで使われる道具に着目した分類方法です。

ぱっと思いつくものだと、トランプとかコインとかが挙げられるでしょう。

使われるテクニックなども、その道具に固有のものがあります。

「方法」/Approach

マジックにおける現象を起こすための方法に着目して分類する方法です。

平たく言えば、やり方のことですね。

マジックの現象としては同じものであったとしても、テクニックを使ったものや、仕掛けによるものなど、やり方のパターンがいくつもあります。

「距離」/Distance

マジシャンとお客さんの物理的な距離に着目した分類です。

基本的に、距離が離れるほど、会場の大きさも大きくなり、観客の数も多くなります。

その規模に合わせて、マジックの名称がつけられています。

「演出」/Direction

マジックをどのように見せるかという演出に着目した分類です。

マジックをバラエティーに富んだものにしているのは、この演出によるところが大きいでしょう。

たとえ同じ現象のマジックであっても、見せ方ひとつで、笑えるものにもなるし、感動的なものにもなります。

それでは、各分野をより詳しく見ていきましょう。

「現象」による分類

マジックには様々な現象がありますが、ここでは、以下を代表例として挙げています。

なお、こうした現象は、単体で見せられることよりも、複合した形で演技に組み込まれることが多いです。

出現/Production

物体が現れる現象を伴うマジックです。

空中から鳩を出したり、ステッキを出したりといった演技を想像してもらうと分かりやすいでしょう。

後述するステージマジック(遠距離で見せるマジック)だとプロダクション(Production)といって一括りにされることもあります。

「出現」の現象を伴うマジック

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消失/Vanish

出現とは反対に、物体が消える現象を伴うマジックです。

手に持ったコインが消えたり、檻の中のライオンが消えたり、といったものですね。

バニッシュ(Vanish)と呼ばれることもあります。

「消失」の現象を伴うマジック

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変化/Change

物体が、ある状態から別の状態へと変化する現象です。

例えば、ハートのAがスペードのKに変わるとか、赤いハンカチがステッキに変わるとか、そういう現象です。

特に、色や柄が変わる現象を、カラーチェンジ(Color Change:略してカラチェン)などと言うことがあります。

「変化」の現象を伴うマジック

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移動/Transposition

物体がある地点から別の地点へ移動したり、お互いに入れ替わったりする現象です。

見方を変えれば、ある地点で消失し、別の地点で出現した、とも考えられます。

つまり、消失と出現の組み合わせとしても捉えられるということです。

また、マジシャンとアシスタントが入れ替わったというような現象の場合は、マジシャンがアシスタントに、アシスタントがマジシャンに変化したとも考えられますね。

「移動」の現象を伴うマジック

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復活/Restoration

破いたり、壊したりしたはずのものが、もとに戻る現象のことを指します。

破いた新聞紙がつながって、元に戻るような現象です。

広い意味では、変化のバリエーションの1つとも考えられるでしょう。

特に、破った紙やトランプを復活させる現象は、トーン・アンド・レストアード(Torn and Restored)という現象としてまとめられていることがあります。

「復活」の現象を伴うマジック

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貫通/Penetration

物体同士がすり抜ける現象のことです。

切れ目のない2つの輪っかがつながる(リンキング・リング(Linking Rings))やガラスのコップをコインが通り抜けるなどのマジックが挙げられます。

「貫通」の現象を伴うマジック

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浮遊・反重力/Levitation & Anti-gravity

重力に反し、物体が宙に浮いたり、動いたりするような現象です。

人体浮遊なんかが分かりやすい例でしょう。

完全に支えがない状態で浮いていることもあれば、一部分だけを支えた状態で浮いていることもあります。

「浮遊・反重力」の現象を伴うマジック

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同定/Identification

特定のものを、別のものに混ぜた後、その特定のものを見つけ出す現象です(三輪, 1999)。

分かりやすい例でいえば、カード当てがそうですね。

「同定」の現象を伴うマジック

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透視・読心術/Perspective & Mind Reading

マジシャンからは見えないものを言い当てるタイプの現象です。

例えば、不透明な封筒の中に紙を入れ、そこ書かれた内容を読み取ったり、カードを伏せた状態でマークと数字を当てたり、といったマジックがあります。

なお、観客の心の中に浮かんだ言葉やイメージを透視するものを、特に読心術(Mind Reading)リーディング(Reading)と言います。

「透視・読心術」の現象を伴うマジック

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思考の伝達/Thought Transmission

マジシャンが思っていることを、観客に伝える現象です。

例えば、マジシャンがイメージしたトランプや絵を、観客が読み取ってしまう、といったマジックが含まれます。

「思考の伝達」の現象を伴うマジック

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念動力/Psychokinesis

意志の力などの超能力によって、物体を動かしたり、変化させたりする現象を起こすマジックです。

スプーン曲げなんかもこの念動力の部類でしょう。

変化のバリエーションと考えても良いですが、超能力によって現象を起こすというような体のときは、この呼称が使われるようです。

なお、Dariel Fitzkee(ダリエル・フィツキー)というマジシャンの分類では、念動力という言葉は使われておらず、マジシャンが動かしている場合を制御(Control)、物自身が勝手に動く場合をアニメーション(Animation)としていますが(三輪, 1999)、この辺りは演出次第な気がします。

「念動力」の現象を伴うマジック

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予言/Prediction

前もって知ることのできない現象を予知していた、という類の現象です。

例えば、選ばれる前のトランプのマークと数字や、発表前の宝くじの当選番号などです。

この手の現象を扱った解説書だと、プレディクション(Prediction)という単語でよく表記されていますね。

「予言」の現象を伴うマジック

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その他・補足/Other Occurrences

後述しますが、透視・念動力・予言といった現象はメンタルマジック(超能力風の演出)でよく扱われます。

また、メンタルマジックでよく扱われる、一般的な知覚を超えて起こる現象のことを、総称して、「超感覚的知覚(E.S.P : Extra Sensory Perception)」と呼びます(三輪, 1999)。

これを踏まえると、ほとんどのメンタルマジックの現象はE.S.Pに分類されそうですが、よく演じられる現象は、別枠で扱おうと思います。

また、その他の一般的なマジックの現象についてですが、観客がある行為をやろうとしても失敗する「観客の失敗」三輪, 1999)や、拘束された状態から抜け出す「脱出」のような現象もありますね。

一応の類型は示しましたが、上記を見ていても分かるように、それぞれの現象同士は、互いに重なり合っていることが多く、厳密に分けることは難しいです。

では続いて、道具による分類を見ていきましょう。

「道具」による分類

マジックに使われる道具も、これまたたくさんありますが、メジャーな道具として思いつくものは、次のようなものがあります。

カードマジック/Card Tricks

トランプを使ったマジックです。王道とも言える道具ですね。

1組のトランプ(デック:Deck)を使って演じるカードマジックもありますし、その中から数枚のカードだけを取り出して演じるパケット・トリック(Packet Trick)と呼ばれるカードマジックもあります。

また、遠距離で演じるステージマジックには、扇状にカードを広げるファン・カード(Fan Card)や、大量のカードを手から出してくるミリオン・カード(Million Card)といったマジックもあります。

ただし、カードマジックという場合、こちらを指すことは稀でしょう。

「カードマジック」に含まれるマジック

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コインマジック/Coin Tricks

コイン(硬貨)を使ったマジックです。

カードマジックと双璧を成すくらい、メジャーな分野だと思います。

コインマジックを専門でやる方だと、ハーフダラー(Half Dollar)というアメリカ合衆国の50セント硬貨をよく使っていますね。

「コインマジック」に含まれるマジック

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ロープマジック/Rope Tricks

ロープを使ったマジックです。

切ったロープがつながるとか、ロープの長さが変わるとか、結び目が解けるとか、いろんな現象があります。

「ロープマジック」に含まれるマジック

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シルクマジック/Silk Tricks

手品用の絹製ハンカチを使ったマジックのことです。

シルク(Silk)は絹のことで、絹製で薄い、色とりどりのハンカチを使ってマジックをします。

見た目にも華やかな道具です。

「シルクマジック」に含まれるマジック

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その他/Other Material

マジックの道具なんていうのは、それこそ何でも良くて、日用品からマジックのために作られた専用道具まで様々です。

例えば、日用品なら、次のようなものがあります。

  • 輪ゴム
  • 時計
  • コップ
  • タバコ

専用の道具があるものを挙げても、以下のように数多いです。

  • イリュージョン(舞台用の大仕掛けの道具)
  • ウォンド(20-30 cm程度の小さい杖)
  • ケーン(1 m程度の杖。俗に言うステッキ)
  • 鳩(鳩出し用の白いもの)
  • シンブル(指にはめるキャップ状態のもの)
  • 四つ玉(ビリヤードボールのような玉)
  • リング(金属製の輪っか)
  • パラソル(マジック用の傘)

また、後述のメンタルマジックなどでは、道具を必要としないマジックもありますね。

「方法」による分類

マジックは同じ現象であっても、全く異なるアプローチによって成立しているということがよくあります。

また、1つの演技の中で、複数の方法が組み合わせられていることもあります。

現象を起こす「方法」に着目した分類としては、以下が挙げられます。

スライハンド/Sleight of Hand

手先の技術・テクニックによって現象を起こすマジックのことをいいます。

語源からすれば、スライト・オブ・ハンド(Sleight of Hand : 手先の早業)が正しいんでしょうけど、何故かスライハンドと呼ばれているみたいです。

なお、曲芸のようにカードやコインの技術を見せることに特化した芸当もあり、こうしたものはフラリッシュ(Flourish:振り回す)と呼ばれています。

ギミック/Gimmick

ギミック(Gimmick)はマジックに使う道具に施される仕掛けのことです。

割とアナログで原始的なギミックが多いですが、最近では、デジタルデバイスやメカニカルなものも見かけるようになりました。

セルフワーキング/Self Working

セルフワーキング(Self Working)は、その名の通り、ある手順に従って演技すれば、自ずと現象が起こるようなマジックのことを指します。

とりわけ、数学的な原理を用いた数理トリックには、この手のセルフワーキングの作品が多く見受けられますね。

その他/Other Approaches

もちろん、マジックの現象を起こす方法は上記に挙げたものばかりではありません。

  • 思い込みや錯覚を利用するもの
  • 催眠における暗示の技法を利用しているもの
  • 科学的な現象をベースとするもの(科学マジック)

など、マジックの現象を起こすためのやり方は、無数にあります。

多くのマジックを知っていくことで、こうした方法についての理解を深めていくことができます。

「距離」による分類

マジシャンと観客との距離に着目した分類もあります。

呼称は複数ありますが、以下の3つが代表的なものです。

クロースアップマジック/Close-up Magic

クロースアップマジック(Close-up Magic)は、至近距離で見せるマジックのことを意味します。

テーブルマジック(Table Magic)と呼ばれたりもします。

少人数のお客さんの目の前で、小さめの道具を使って演じるようなマジックが多いですね。

なお、路上で行うマジックはストリートマジック(Street Magic)、レストラン等でテーブルを巡回して行うマジックはテーブルホップ(Table-hop)などと呼ばれますが、距離で考えると、このクロースアップマジックや、次のパーラーマジックに含まれるものが多いでしょう。

パーラーマジック/Parlor Magic

パーラーマジック(Parlor Magic)は中距離で見せるマジックです。

サロンマジック(Salon Magic)とも呼ばれます。

クロースアップと後述するステージマジックの中間的な立ち位置になります。

個人的なイメージとしては、学校の教室くらいの規模の会場で、観客が20-30人くらいだとパーラーマジックかな、という感じです。

ステージマジック/Stage Magic

ステージマジック(Stage Magic)は遠距離で見せるマジックです。

ステージという単語が示すように、舞台と客席が分けられているような会場での演技が多いですね。

お客さんの人数的には、パーラーマジックよりも多くなります。

「演出」による分類

マジックの見せ方に着目したものでは、次のような分類があります。

メンタルマジック/Mental Magic

いわゆる超能力風の演出を行うマジックです。

メンタルマジックだけで1つの分野として確立できる程度にはメジャーです。

降霊術やオカルト的なものも、メンタルマジックの一種でしょう。

よく似た概念であるメンタリズムとは、厳密に言うと区別されるらしいですが、とりあえずは同じようなものと思っておけば良いでしょう。

コメディマジック/Comedy Magic

喜劇的な演出を行うマジックです。

おどけた感じの演技や、失敗ばかりして慌てふためく演技など、コミカルな表現で観客を楽しませます。

和妻/Wazuma

和妻(わづま)は日本に古くから伝わる奇術です。

手妻(てづま)、品玉(しなだま)などとも呼ばれます。

衣装は和装を着用し、和傘、扇子、花吹雪などの道具を使った演技が多く見られます。

その他/Other Direction

この他にも、ギャンブルのデモンストレーション、失敗したと思わせて意外なオチを作るサッカートリック(サカートリック:Sucker Trick)、プロジェクションマッピングを使ったマジックなど、様々な演出があります。

現象や方法が料理における素材だとしたら、演出は味付けみたいなもので、マジックの演技を作る上で重要なものといえるでしょう。

終わりに

以上、マジックの種類には何があるのかについて、分野や分類方法を解説してきました。

数多くのマジックがあり、それを分類する観点もたくさんあるのだなと感じていただけたと思います。

なお、当サイト Theory of Magic のサイトマップも、こうした分類をベースにしたカテゴリで整理してあります。

マジックを学ぶ上で、全体像を俯瞰できると、理解もしやすいと思うので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

マジックの種類を知って、自分もマジックをやりたくなってきた方は、次の記事でピックアップしたマジックなどが取り組みやすくておすすめですよ。

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